髙嶋大作戦 - ジャゲヤ

羊水の味

この曲を聞くとあれを思い出すということがある。第三の男のテーマを聞けばビールを思い出すし、ビタースウィートサンバを聞けば深夜ラジオを思い出すし、イッツマイライフを聞けば筋肉芸人を思い出す。そしてこの弦楽のためのアダージョを聞けば葬式を思い出す。

眠るのにも起きているのにも中途半端な時間だった。

本日はお忙しいところお時間を取ってくださいましてありがとうございます。

マクドナルドでドライブスルーをすることになったのは隣に座っているキョウコの提案だった。

「すみません。今日は傘を差したままでの勤務をお願いします」
「何かありましたか」
僕はビルを見上げたくなる気持ちを抑えて警備員に尋ねる。
「フィルムの出荷が間に合わなかったようで張替が終わってないのです」

南の島に風が吹く。ハメハメハ大王が歌を歌ったのだ。南の空には星が瞬いている。またハメハメハ大王が新たな夢をみたのだ。

人生ポストシーズンだよなと思う。

小さな軽自動車が唸りながら加速していく。正面にはどこまでも続いてる真っ直ぐな道路が、左右には田んぼと一定の感覚で配置された街灯がある。４車線ある大きな道路で昼間ならもっと交通量があるのだろうが今は僕たちの車だけだ。

今夜は僕にとって人生史上最高に忙しい夜だと言っても過言ではない。

その日はＡ氏とＢ氏（両名の名誉のために実名は伏せさせていただく）におけるしりとりは白熱し大いに盛り上がった。