ここには小説を載せとんじゃげや。

眠るのにも起きているのにも中途半端な時間だった。…

駅ビル構内の人工的な光が、チェーンのカフェのカウンター席にまばらに座る人影を明るく照らした。…

午前二時、宿直室にいた男のスマートフォンが鳴った。…

本日はお忙しいところお時間を取ってくださいましてありがとうございます。…

マクドナルドでドライブスルーをすることになったのは隣に座っているキョウコの提案だった。…

一切の色彩が失われるというのは、必ずしもグレイスケールの世界を意味しない。…

浅いところには庶民が住む。深いところには金持ちが住む。…

「すみません。今日は傘を差したままでの勤務をお願いします」 「何かありましたか」 僕はビルを見上げたくなる気持ちを抑えて警備員に尋ねる。 「フィルムの出荷が間に合わなかったようで張替が終わってないので…

恥ずかしさがわたしの後ろをゾロゾロついて回る。…

南の島に風が吹く。ハメハメハ大王が歌を歌ったのだ。南の空には星が瞬いている。またハメハメハ大王が新たな夢をみたのだ。…

表へ出ると、広い通りがまっすぐに家の前を通っていた。…

目覚めと共に夏の終わりはペンキを剥がすように起こった。…

人生ポストシーズンだよなと思う。…

小説を書いている、と胸を張って言えたためしなど一度もない。…

小さな軽自動車が唸りながら加速していく。正面にはどこまでも続いてる真っ直ぐな道路が、左右には田んぼと一定の感覚で配置された街灯がある。４車線ある大きな道路で昼間ならもっと交通量があるのだろうが今は僕た…

その人は本当に元気な人だった。夏になるとよく原色のTシャツを着た。黄色や水色の布地が真っ白な肌によく映えた。僕の知らないバンドのTシャツを夏になるたびにたくさん買うのだ。…

32度。まだ6月だというのに馬鹿みたいな暑さで支配された街の、あんまりエアコンが効いていない喫茶店のせいで、960円も出して注文したアイスカフェラテの氷は跡形もなく液体に溶けている。…

今夜は僕にとって人生史上最高に忙しい夜だと言っても過言ではない。…

夏の夕焼けに、染まった雲がV字にかかっている。それはギブソン・フライングV。オレンジ色の変形ギター。…

その日はＡ氏とＢ氏（両名の名誉のために実名は伏せさせていただく）におけるしりとりは白熱し大いに盛り上がった。…

パンダのタトゥーを彫ったあいつに会いに、俺は中央線に乗る。…